がっかり、科学ニュース報道の視点
小惑星探査機「はやぶさ」の報道について、報道のプロの視点があまりにも浅いことを証明してしまった。
日本経済新聞社(NIKKEI NET)の「ハイテクと社会」清水正巳 編集委員の「はやぶさ」に対しての記事だ。
「日本の小惑星探査機「はやぶさ」による小惑星イトカワの探査ほど、成功したのか、失敗したのか分からないプロジェクトはない。」
「失敗を成功と言い繕っていないか --- 科学技術の研究開発には新発見やイノベーションにつながる発明、そして一つ一つの技術を組み合わせ、全体システムをつくりあげるような技術開発プロジェクトがある。前者は未知の世界の挑戦という性格があり、失敗なしに成果を挙げるのは至難の技である。一方、後者は着実にシステムをつくることが前提であり、出来上がったシステムが動かなかったり、目標を達成できなかったりすれば失敗であり、無駄な研究開発ということにもなる。〜(中略) はやぶさは後者になるが 〜(略)〜」
と、書かれている。
成功、失敗がわからないと言ってるが、え〜、K2の名前の刻まれたターゲットマーカーは無事小惑星「イトカワ」に投下できたので成功です。
3億キロ離れた500メートルほどの小惑星「イトカワ」に到達したのも成功です。
世界初イオンエンジン航行なども成功です。
「イトカワ」に着陸、離陸したのも成功です。
「イトカワ」の表面が撮影されている他の小惑星のように細かい砂(粒子)に覆われていないで剥き出しの状態を近距離から撮影できたのも成功です。
プロジェクト中の数あるミッションの成功・失敗はJAXA(宇宙航空研究開発機構)を「見てるだけ」でも判断できると思うのですが。
プロジェクトと言うものには2種類の性格の物があり、「前者は未知の世界の挑戦」「後者はシステムを作りあげるような技術開発プロジェクトで失敗は無駄」と書かれている。
世界初の小惑星到達・着陸などを成功させた「はやぶさ」は後者であると書かれているがどこを見れば未知の世界への挑戦では無いとなるのだろうか?(技術的にも)
確かに「はやぶさ」のプロジェクトは「有人航行・着陸」といった派手で誰もが惹かれるわかりやすいプロジェクトでは無いと思う。
プロジェクトのテーマ(目的のミッション)もひとつではない。
しかし、それを知識無く短絡的に判断せずしっかり知識を得て上手に伝えるのが報道の「プロの視点」であって、これでは無知な大衆と変わらない。
もちろん批判的に見る視点も大事だが、成功したことにも評価を与えようよ。
この編集者はずいぶんとまた株を下げる恥じさらしなコメントを書いてしまったものだ。
JAXA(宇宙航空研究開発機構)
NIKKEI NET
「プロの視点」-「研究の失敗に寛容な風土はできるか(12/21)」